結論から言うと、ぼくはもうEtherDeltaを使いません。
すごく残念ですが。
今、ほとんど話題に上がっていないようですが、EtherDeltaから新しくForkDeltaと呼ばれる分散型取引所ができています。
いったいなにがあったのか?
今回はこの分裂の原因とかEtherDeltaとの違いなどを解説してきます。
ForkDeltaの特徴
コミュティー内でEtherDeltaをコピーして誕生した分散型取引所のため、とりわけ目立った宣伝などもなく、他の通常の取引所に比べて非常に簡素な作りになっています。
また、個人が集まって作り出したような形になっているため、専用の会社のサイトもないですが、取引所のサイトの左上にはFAQ(よくある質問)とともに将来のロードマップが記されています。
EtherDeltaからのフォークの原因と経緯
去年の12月20日、EtherDeltaはハッキングによって少なくとも308ETH(約2700万円相当)のトークンを盗まれています。
と言っても具体的にはEtherDelta本体がハッキングされたわけではなく、公式サイトのDNSサーバーを利用して作った偽物サイトにユーザーを誘導させて、ログインしたユーザーから資金を奪っていたようです。
参考情報:news.bitcoin.com
健全な飲み屋自体に落ち度はないですが、その手前の段階でボッタクリ飲み屋に誘導されるって感じですね。
ただ、この金額を見ると、他の取引所のように大量に盗まれているようには見えませんね。
これはこの取引所が分散型取引所であるため、ある程度被害を抑えることができたものだと思われます。
公の発表によると、このハッキングは単にドメインを盗んだだけで、DEXのスマートコントラクトや取引自体に手を加えることができなかったとされています。
一方で別の情報では不確定な要素が多く、
・EtherDeltaの運営陣の対応が遅かった
・安全とされていたブラウザプラグイン(MetamaskやMyEtherWallet)を使用していたユーザーからの盗難報告
などの情報が出回っています。
変わって別の情報から。
そのハッキングが起こる直前の12月中旬頃、情報によるとどうやらこのEtherDeltaは他の少なくとも2人の中国系の投資家によって買収されているようです。
そのためこのサイトの運営者(SEO)は12月からTerry Liuという人に変わっています(Twitterアカも変わっています)。
※ちなみにそれまでは”Zack Coburn”という人が運営していたようです。
まず注意してほしい点、管理元がしれっと変わっています。
それと、日本ではほとんど情報がなく、確証はありませんがこの責任者が変更された日はなんとハッキングの2日前という話が出ています。
これだけでもちょっと・・・アレっ?てなりますね。
参考情報:steemit.com/etherdelta
問題はここから。
12月30日、責任者が変わって、ハッキングがあったあとにこのEtherDeltaから新しくICOが発表されました。
そのときに売りに出されたのがEtherDelta Token(EDT)と呼ばれるものです。
なお、これに関しては日本でも多少の情報があります。
このICOに関する情報ですが、控えめに言っても99%詐欺である、と少なくとも僕は思っています。
海外の情報を見るとわかりますが、ほぼすべてのコミュニティーにおいて、このICOに関してはかなり否定的な意見が目立ちます。
一部の意見を和訳したものを貼っておきます。
“誰もEtherDeltaを信頼しない時間にトークンを起動するのはなぜですか?
それらのページは数時間で構築されたように見えますが、ソースコードはコピーされたコンテンツをコピーした最も基本的なサンプルアプリのようなものです。
チームメンバーのソーシャルメディアへのリンクはなく、チーム画像はどこからでもコピーできます。
彼らはページのフッターにICORatingのバナーを示していますが、ICORatingはEDTについて何も言及していません。
ホワイトペーパーはページの後にリリースされ、事実はまったくありません。
彼らがリンクしているテレグラムグループは完全に非統制です。
CrowdsaleのページはEtherDelta HTTPS証明書も使用していませんが、先週のDNSハイジャックの影響を受ける可能性が最も高いです。
Crowdsaleのページには、「Etherdeltaは、ファイナンス、技術、セキュリティなどの新しいイノベーションを起こすために、ラボ51を立ち上げるつもりだ」
Etherdeltaは、「信頼性と運用コストの低さ」を基盤にしています。”
reddit.com/r/ethtrader
さらに言えば、このトークンはEtherDeltaでしか扱っておらず、決定的な部分としては現在ホワイトペーパーを含む、関連するほとんどのICO公式サイトのページが表示されない事態になっています。
運営のTwitterではロードマップだけが公開されているようですね。
To all etherdelta supporters, we are excited to present you the long waited etherdelta plus roadmap, thank you for supporting us all along! Garcia pic.twitter.com/HAycExPBz3
— Terry Liu (@TerryLiu_ed) 2018年2月1日
公式サイトとは別に偽物のプロジェクトが発足したものであれば納得もいきますが、公式では残念なことに、この事実を否定していません。
ちなみにリニューアルされた公式ツイッターは1月に登録されているにもかかわらず、現時点でツイートされている数がたったの6件程度です・・・。
ここにはこのICOに関する進展などは一切記載がありません。
というわけで、次に注意してほしい点、怪しい案件を扱っています。
ということ。
以上の点から、
残念ながら、僕はもうここを使うことはないです。
いくら分散されているからと言って、現状では取引所が独立して動くことは難しいはずですよ。
誕生したForkDeltaとEtherDeltaの違い
上記の理由から、EtherDeltaは仮想通貨関係のコミュニティーでの信頼をなくしたため、一部の有志がソースを使って事実上のフォークを行いました。
今はいわゆるコピーの形になっていますが、ロードマップでは新しいトークンリストシステム、受注伝票、API、フロントエンドUIの開発など、今後はっきりと元の取引所とは別れる方向性を示しています。
注目する部分としては、ForkDeltaの公式サイトにあるFAQの部分。
ここでは”ForkDeltaとEtherDeltaとの違い”に関する回答の部分で、はっきりとEtherDeltaに怪しい部分があるということを明記しています。
仕様内容ですが、今は従来のEtherDeltaと同じ使い方になります。
過去に解説したEtherDeltaの使用方法と同じなので、使い方は下の記事が参考になります。
なお、ForkDeltaでかかる手数料の件で、現状オリジナルからのコピーに近い形になるので、かわいそうなことに0.3%の手数料はそのまま元のEtherDeltaに入っているようです。
DEXの特性上、手数料などの支払いシステムはおそらくすべてスマートコントラクトで制御されているはずなので、これを変更するには大元から変える必要になるはずです。
まだ、ForkDelta自体はできたばかりのため、関連情報も少なく、運営の信頼性もどうしても薄くなりがちですが、今後時間が立つにつれてどちらが正しいのかは証明されてくるはずです。
ちなみに参考までに、現時点での24時間の取引高はEtherDeltaで500万円程度、一方でForkDeltaは8000万円程度となっています。
※coingecko.com調べ