イーサリアム(Ethereum:ETH)の合意アルゴリズムは、PoW(プルーフオブワーク)からPoS(プールオブステーク)に移行することが決定しています。
この時に、このPoSに新しい仕組みが導入されるんですが、その仕組みが導入されたPoSがこのCasper(キャスパー)という名前で呼ばれています。
Casperとは?
Casperはイーサリアムが実装するPoSの一種です。
ただし、イーサリアムだけのものではなく、他にも同じシステムを導入すると言ってる仮想通貨はあります。
RchainではこのCasperと同名の技術を導入するとの技術内容を公表しています。
見る限りは、イーサリアム関係者も関わっていることからおそらく同じものだと思われます。
基本的には、PoSと同じように保有量に応じてマイニングできる権限が得られます。
CasperではマイナーをValidator(バリデーター)と呼び、ビザンチンフォールトトレラント(BFT)ベースのPoSを元にして、2014年に発表されました。
ビザンチンフォールトトレラントシステムは、合意の中に「嘘」の答えが混じっていたとして、それをいかに回避して、全体では正しい結果を表示させると言う方法を実装させるシステムの総称です。
これは仮想通貨独自の技術ではなく、その考え自体は古くからあったようです。
イーサリアムでは、Tendermintと呼ばれるソフトウェアを改良した技術をCasperとして使っています。
CasperではPoSにあるような「Nothing at Stake」(複数投票)問題を解決する方法としても期待されています。
この行為を意図的に行った場合に、システム内でペナルティーを課すようにしているそうです。
直訳では「何も賭けていない」と訳されます。
その名の通り、初期のPoSでは投票に関して投票権利を得るためのトークンを持っていれば、他はなんのリスクもなく、投票者は好きに複数の投票を行うことができます。二重投票や複数投票など。
すでに今はこれに移行するためにPoWでの報酬も段階的に下げられてきており、現時点(ビザンチウムっていう段階らしい)では3ETHに引き下げられました。
Casperはいつ頃実装されるのか?
イーサリアムプロジェクトには、全部で4つのアップデートがあります。
第2アップデート:ホームステッド(Homestead)
第3アップデート:メトロポリス(Metropolis)
第4アップデート:セレニティ(Serenity)
これらのアップデートでは、既存のプロジェクトの採掘難易度(difficulty)の調整や手数料の変更、匿名性のあるzk-SNARKの導入などいろいろな新しいシステムが導入されています。
現時点でのアップデートは、メトロポリスの段階です。
Casperは現時点ですでにα版としてはテストネット上で稼働しており、リリースもされています。
notes.ethereum.org
上記リンクにあるFFGという言葉は「Casper The Friendly Finality Fadget」の通称のことで、これは2種類あるCasperの実稼働方法のうちの一つです。
実際の稼働にはだいたい5ヶ月ほどかかると言われていおり、完成品のリリースは秋の初めになるそうです。
forklog.com
なお、ETHを掘るためのASICがリリースされたそうですが、Ethereum開発者はこれに対するハードフォークを拒否しているそうです。
ただ、高額であり、金があれば権利を得られるというところから、一部のユーサーからは批判の対象になっています。
もともとイーサリアムはASICに対抗するためのアルゴリズムを採用していましたが、今回の製品はこれを克服したようですね。
もっとも、今後PoSに移行するため、開発者の間ではこの製品に対してそれほど脅威ではないと判断しているようです。
[ad]