NEMのファンの界隈ではカタパルトが今日、3月26日に開始されたと賑わっているようですね。
一般人からしたら「なにいってるの?」って感じですが、このカパタルトっていうのはいわゆるバージョンアップのようなものです。
目次
カタパルト(Catapult)の内容
カタパルトの対象となっているのはNEMとそれのプライベートバージョンであるMijinです。
ただ、今回の場合はまず後者のMijinに対して適応されたバージョンアップで、「mijin v.2」とも呼ばれています。
このMijinに関しては、NEMを元にTech Bureau Group(テックビューロ)というフィンテック会社が作った会社向けのブロックチェーン技術です。日本ではすでに同名で、仮想通貨取引業者として登録されています。
このTech Bureau Group(テックビューロ)は同じくZaifの設立元でもあり、最近は国内向けのICOプラットフォームである「COMSA」も始動させています。NEMの開発陣「NEM.io財団」とはNEMの設立時から早い段階で関係があり、なんなら開発者もシェアしています。
今回新しく搭載された主な機能は以下の通りです。
・Smart Signing Contract(スマートコントラクト)
・Multi-Level Multisig(マルチシグ)
・Aggregate Transactions(トランザクション集約)
Smart Signing Contract(スマートコントラクト)
これはイーサリアムですでに搭載されている機能です。
この技術をミジンブロックチェーン上で組み合わせることができ、毎回作って、それも使い捨てで使用できます。
これで実現できることは、例えば、自動で手数料を支払う機能など。
もともとXEMで支払うべき手数料が必要な送金サービスであっても、支払い金額から通貨を変換して自動的にXEMでの支払いを可能にすることができます。
Multi-Level Multisig(マルチシグ)
これはコインチェックの一軒で一躍有名になりましたね。
簡単に言えば、例えば、ウォレットに複数のアカウント(秘密鍵)を設定して、単1の秘密鍵が漏れても他の設定されているアカウントの秘密鍵が全部漏れない限り、ウォレットの中身がさらされないようにすることができます。
Mijinの場合、Multisigはスマート契約に組み込まれており、すべての秘密鍵アカウントが期限までに契約に同意しない場合、ミジンは自動的にその契約を削除します。
Aggregate Transactions(トランザクション集約)
これは異なる多数の物々交換(トランザクション)をスマートコントラクトでまとめて、一気に実行する機能です。
すべての交換者が同意して交換成功するか、あるいはすべてが失敗するかの二択になり、一方的に片方のみが失敗する、いわゆる持逃げみたいな状況がなくなります。
単1のトランザクションで実行できるので、もちろんスピードは従来のものに比べて遥かに早いです。
ちなみに、一見、アトミックスワップに似ているようですが、これに関してはカタパルトのスマートコントラクトが仲介として機能しており、第三者の仲介を省けると言われるアトミックスワップとは仕組みが異なります。
その他の機能
トランザクション処理に関しては1秒間に4000件もの取引処理が可能になると言われています。
これは現在のVisaの承認速度と同等です。
あんまりパッとこないので、以下に基準をあげときます。
NEM:3000件/秒
ビットコイン5件/秒
ただ、これに関してはスピードも大事ですが安定性も大事です。
何かあったたびに大幅にスビードが落ちると、いくら処理がよくても意味がありませんね。
リップルの送金スピードは実感で本当に秒の速さなので、それも超える速さだと相当なスピードであることがわかります。
と言うよりも、すでにNEM自体も相当な速さですね。
カタパルトの今後のフェーズ
カタパルトには大きく3つのフェーズがあります。
フェーズ1:カタパルト開発者プレビューおよびSDKリリース
フェーズ2:Catapult Core Engine
フェーズ3の評価版:オープンソースライセンスと商用ライセンスの両方でCatapultのデュアルライセンス
nemflash.io
現在はフェーズ1の状態で、次は4月28日にフェーズ2のコアエンジンがリリースされる予定です。
最終のフェーズ3は2018年5月にリリースされます。
今回のものはベータ版としてのリリースです。
また、最初に言った通り、NEM自体にはまだ実装されていません。
Mijinの必要性
NEMがあるのにわざわざ会社向けにMijinを提供する理由は社内のプライベートや、プラットフォーム自体のパブリックな規模に関しての問題があるからです。また、開発環境にも要因があります。
もし、今のNEMを普通に会社で使う場合は、まずはNEMを開発者目線で見て学習する必要があり、構築後も専任者が常時、NEMのプラットフォームの動向を監視し続ける必要があります。
また、トランザクションは基本公開されるため、社内の重要な機密情報などがさらされる場合があります。
一方で、Mijinではブロックチェーンの活用に関しては手厚いサポートが入り、自力で頑張って開発していく必要はありません。
開発では、専用の社内用のブロックチェーンが構築されるので、プライバシーの保護もできて、NEMのように公共の場で、投資家などの影響を受けることはありません。
また、プライバシーの観点では、匿名性の仮想通貨もありますが、現状日本ではマネーロンダリング・資金洗浄の危険性からか、数ある通貨のうちの一つも扱うことができません。