アービトラージは元々FXで流行っていた手法として有名です。
理屈は非常にシンプルで、取引所ごとに扱っている通貨の価格の誤差を利益として意図的に得るという方法になります。
この方法をそのまま仮想通貨の取引所にも応用しようとする考えが今の仮想通貨アービトラージになります。
目次
バイナンスのアービトラージ方法
まず、アービトラージで最低限準備しないといけないものは2つの取引所です。
2つの取引所で同じ通貨を扱っていればそれらの価格の差でアービトラージが可能になります。
バイナンスを利用したい場合はバイナンスの取引所でアカウント開設をする必要があります。
もう一つの取引所は共通する通貨さえあればいいですが、今回は分かりやすくビットフライヤー(bitFlyer)にしましょう。
次に必要なことは二つの取引所に資金を入れておくこと。
バイナンスは日本円は入金できないので、送金できるビットコインなどに交換してから送ります。
実際に行う作業は、以下の通りです。
①バイナンスとビットフライヤーで、対象コインの価格を比べる
②対象コインが安い方の取引所でそのコインを購入する
③もう一方の取引所でそのコインを売る
上記の際に購入したコインは売却する取引所に送る必要があります。
どちらからでもすぐに購入して送金できるようにそれぞれに対等に資金を持たせておきましょう。
今回はそれぞれに10万円分の購入用ベース資金を送金したとします。
bitFlyerは日本円で10万円、バイナンスはUSDTで10万円分です。
※このベース資金はBTCでもETHでも問題はありません。
では、この二つの取引所に共通する主なコインを以下の3つに絞ります。
ビットコイン
イーサリアム
リップル
ここでのポイントは、いかにスムーズに短時間で処理を完了させるかです。
このうち、ビットコイン、イーサリアムは送金時間が長めで、手数料が多いので候補から除外。
残るリップルでアービトラージを実行してみます。
まずは比較。
ビットフライヤーの方は余計な手数料がかからないLightning webからXRP/JPYを選択し、価格を見ます。
バイナンスは「両替」、または「クラシック」からXRP/USDTを選択。
こちらは日本円に変換して、ビットフライヤーとの差額の計算をします。
これらを比較。
今回は仮にバイナンスのリップルの価格が安いと想定します。
そうなると、バイナンスからリップルを購入して、ビットフライヤーでそのリップルを売却する流れになります。
まずはバイナンスでリップルを取引購入。
次にそのリップルをそのままビットフライヤーに送金します。
送金できたらLightning webからXRP/JPYを選択して、売ります。
あとは、再度バイナンスに10万円分の資金を送り直すことで、これをループさせることができます。
アービトラージの応用編
通常のアービトラージの手法は、購入したコインをより高値で売れる別の取引所で売って利益を出します。
しかしこの方法では送金時間分のロスが発生します。
それを防ぐ方法として、2つの取引所にそれぞれコイン購入用資金と売却用コインを同じ量置いておくことで瞬時に取引を完了させることが可能です。
以下のフローがその実際の手順です。
取引所A、Bに10万円分の現金と10万円分のビットコインを保管。
AよりBの方がビットコイン価格が高い場合、Aではビットコイン10万円分を購入して、Bではビットコインを売る。
その後、AからBにビットコインを送金。
この方法だと実質ロス時間はゼロです。
その資金がかなり必要になります。
アービトラージは儲からない?
結論から言うと、普通のアービトラージでちゃんとした利益を上げることは難しいと思います。
なぜなら現在の取引所はどこもレートのずれがほぼ無いくらいしっかりと精度が上がっているから。
気になる方は一度、コインマーケットキャップのマーケット部分で比較してみてください。
coinmarketcap
ざっと計算した利益は4,50万取引して数百円程度の利益です。
10万程度では一回あたり、数円から多くて数十円程度の利益となる計算です。
少なくとも手作業での効率はかなり悪いことがわかります。
ただし全く儲からないわけではありません。
バイナンスの3通貨アービトラージは儲かるのか?
アービトラージとは、本来なら取引所を跨いだ通貨の取引が主流ですが、取扱通貨が大量にあるバイナンスではその取引所だけで価格差を利用したアービトラージが可能ではあります。
例えば、以下のような3通貨を売り買いして差額を得る方法ですね。
USDTでSOLを購入
SOLを売却してBNB購入
BNBを売却してUSDTを購入
もちろん逆もできます。
この3通貨アービトラージの最大のメリット。
それは送金する必要がないこと。
取引所間を渡るアービトラージでは時間がどうしても数分〜数十分かかりますが、この方法であればほぼ一瞬で完了できます。
と、話を聞く限りではかなり美味しい内容に聞こえますが、もちろんそう簡単にはいきません。
実際、こちらも精度が高いせいで高いおかげでほとんど利益が発生することはありません。
ボクが試験的に、自動プログラムを作成して2日間テスト確認したところ、利鞘を得られる機会は10~20回程度でした。
10万円を元にアビトラを擬似的に実施。
そのうちほとんどの利益は一回当たり100円程度と、非常に利益が出にくい結果となっています。
ccxtを使ったバイナンスのアービトラージ自動化
いわゆるシストレです。
自身の判断で取引を行う裁量取引とは違い、完全にプログラム任せにできるため、機械的に取引を進めることができます。
この方法、一見難しそうに思えますが、最近は比較的簡単に導入することが可能になってきています。
実際、Pythonとccxtを利用すれば一端のコーダーでもゼロから作成することはできます。
ボクの場合は、macと取引所のアカウントを使って2時間程度で形を作ることができました。
実際の取引ではプライベートAPIが必須です。
【Python×API】ccxtを活用した仮想通貨・ビットコイン取引の自動売買|板情報・価格・注文・約定
一方で難しいのは、実際に利益を出すことですね。
アービトラージは違法?
まず、この話題でほとんどの人が勘違いしていること。
それはアービトラージ自体に法的な決まり事は存在していないということです。
では、全く問題がないかというと、そういうわけでもありません。
なぜなら利用規約として禁止、制限している取引所があるからです。
利用規約のため、禁止事項を破ってしまった場合は最悪の場合アカウント停止となる可能性はあります。
バイナンスでは明確な禁止事項はないのですが、例えば短時間にあまりにも大量のAPIを取得したりすると制限をかけられる可能性はあると思います。
もっともこれはアービトラージとは無関係ではありますが。