最近のブロックチェーン技術は一本のブロックチェーンにいろんな技術を付加させて情報を処理するプロジェクトがたくさん出てきていますね。
今回はその一つであるAeternity(æternity?)を解説していきます。
ちなみに、この名前の綴りの一部には、AとEを合体させた「æ」っていうのを使っています。
目次
仮想通貨Aeternityの基本情報
最大供給量:274,000,000 AE
システム(アルゴリズム):Proof of Work(Cuckoo Cycle),Proof of Stake
※トークンは発行当初イーサリアム上でERC20トークンとして動作
公開日:2016年12月28日
公式サイト:aeternity.com
ホワイトペーパー:aeternity.com-pdf
ホワイトペーパー和訳Vr:medium.com/@udon_crypto
æternityは、分散したOracleを介して実世界のデータと連動する、高速で安全なスマートな契約のために設計された新しいブロックチェーンです。
現時点で仮想通貨ランキングで39位。
価格は1AE = 248円です。
今回のブロックチェーンはスマートコントラクトをブロックチェーンとは別の場所に移動させ、個々で独立したプライベートな処理ができるようになっています。
さらにプラットフォームは、トークンホルダーによって作られる現実情報の塊「Oracle」を考慮に入れられるような設計になっているため、現実世界の情報をブロックチェーンによる契約と結びつけることができるそうです。
æternityネットワーク
ネットワークのコンセンサスアルゴリズムはPoWとPoSのハイブリットであり、PoWに使われるアルゴリズムはCuckoo Cycleというものを採用しています。
これによって従来のPoWよりも電力消費を減らすことができ、スマートフォンですら参加できる環境にありますが、聞く限りその分収益性はどうしても落ちるようです。
ちなみにEthereumはGPUベースのEtashを利用しています。
また、コアブロックチェーンのプログラムコードはErlangというブロックチェーンに適したものを使用しているそうです。
基本æternityのメインであるブロックチェーンには結果のみを残す機能だけにしか使われず、その他の処理は後述する各種機能に全部任せています。
分散したOracle
世の中でよく言われるOracle(オラクル)とは、いろいろな情報が入っているデータベースのことであり、だいたいはクラウドと同じような感じのものを想定します。
ただし、ここでいうOracleはいわゆる予測市場の事であり、中央管理ではない分散された管理のもとにあるデータベースとして、ホルダーの意見や多数決によって「答え」が決まる情報が集まります。仮想通貨Augerなどで使われるあの「予測市場」ですね。
このOracleは仮想通貨のコンセンサスメカニズム(合意方法)と密接につながっており、両方がその仕組みを支え合う形で存在しています。
※コンセンサス・メカニズム=ここではProof of Work(Cuckoo Cycle),Proof of Stakeの事であり、合意はバリデータによってオンチェーン上で決まる。
仕組みは以下の通り。
まず、æonトークン保持者がyes(はい)/no(いいえ)形式で答える質問枠に参加することでOracleへの参加ができます。
これに対して、別のホルダーが対立意見を答えた場合は、ブロック承認用のコンセスサス・メカニズム、つまりブロックチェーンで使われる多数決システムが起動して、最終的な答えが決まります。
また、これらの参加には保有トークンを一時的に預ける必要があります。
具体的には回答者が回答提出の際にかかる時間分に比例したæonトークン量を預けます。
一定期間の間で反対意見がないか、答えが正しいとなった場合は、質問者の預けたトークンは返ってきます。
反対意見者が出た場合は最終的にコンセンサス・メカニズムによって少なくともどちらか片方のトークンは没収(Burn)されます。
普通、一度設定したスマートコントラクトは、ハードフォークでもない限り改定できないこともあり、現実社会の状態変化にはついていけないと言われています。
この方法は捉え方を変えると、従来のスマートコントラクトでは実現できない「閉鎖的な決まりごと」を拡張、または更新させる方法であり、それを仮想通貨で使われるコンセンサス・メカニズム(多数決とか)で実現させているようなものです。
こういう系のものに関しては、一般的にはギャンブルなどが思いつきますが、実際もっと有能な使い方があります。
単なるギャンブルとしての使い方は、個人的には技術の無駄遣いだと思うし、もったいないことこの上ないです。
例えばある種の強制的な有料サービスが、環境や状況によって受けられなかった時のキャッシュバックのようなことにも使えると思いますし。
ネーム・システム
æternityでは、NamecoinのようなアドレスをわかりやすくするDNS機能が考えられており、人がわかりやすい文字列をアドレスに紐付けするそうです。
ちなみにネームコインでは「.bit」というインターネットのドメインのような機能を使って管理します。
AEトークン
正式名称では、「æon」と呼ばれます。
これは匿名トークンとして、ブロックチェーンの使用料として使われます。
具体的には、スマートコントラクト実行やシステム料金として、プラットフォーム上で使用されるすべてのリソースの支払いと、実装される金融アプリケーションの基礎として使用され、マイナーのインセンティブになります。
ちなみにこれがイーサリアム上で動いているのは、現時点でまだ本プロジェクトが機能していないことが原因のようです。
State Channel(ステートチャネル)
従来のブロックチェーンシステムでは、何でもかんでもブロックチェーン上でやってしまうものでしたが、最近のものは容量、スケーラビリティーの関係上できる限り、記録する情報を少なくしようという試みがあります。その一つがこのステートチャネルの考え方です。
仮想通貨界では、すでにビットコインのライトニングネットワークやEthereumのRaiden Networkなど、またはブロックチェーンとは別のサイドチェーンなどを利用した情報処理の手段があります。
同技術もそれらに近いもので、Aeternityのスマートコントラクト機能はオフチェーン上の「ステートチャネル」というところにのみ存在します。
具体的にはスマートコントラクト処理の実行をステートチャネル内で行い、結果のみをブロックチェーンに残していくという仕組みになります。
ちなみにこのステートチャネルには記録は残らず、処理だけに特化します。
また、スマートコントラクトを執行するステートチャネル自体は独立しているため、実質トランザクションの並列処理が可能になるそうです。
それぞれはプライベートな匿名取引となり、結果だけがブロックチェーン上に残ります。
それで結果に対して問題が発生した場合に対しては、メインチェーンでコンセンサス・メカニズムによって解決になります。
Aeternityの将来性
State Channelの恩恵によって微量の支払いに対しても臆することなくシステムは動き、マイクロペイメントやIoTにも活用できます。
また、ホワイトペーパーを見る限り、クロスチェーン アトミック スワップ(P2Pの異種通貨交換)にも対応するようなことが書かれています。
しかしながら大変残念なことはそのほとんどがまだ構想段階にあるということです。
もちろんまだ発足してにも浅い状態なので決して遅くはないんでしょうが、他の仮想通貨と比べるとどうしても見劣りしてしまいますね。
現時点でのロードマップはQ3 2017「Build Essential Apps」(Appのビルド)まで進んでいるようですね。
ただ、最近はイケダハヤト氏のレビューによって、少し国内でも知名度が上がっているようです。
チャート自体は2017年11月から段階的に4つの大波をつけて上がっています。
あと、いろんな情報を見る限り、開発者の一人であるYanislav Malahov氏はイーサリアムに深く関わっているようです。
そういうこともあってかよくEthereumが比較対象に持ち上がるみたいですね(気になる人は二つの名前で検索してみてください)。
同プロジェクトは結構前からある古株的な仮想通貨ですが、今年の2月にBinance(バイナンス)に上場したことでちょっとしたニュースにもなっています。
現時点では特に大きなイベントはないようですが、今後何かしらの動きがもうすぐあるのかもしれませんね。
Aeternityの購入方法
海外の取引所
Binance
Liqui.io
など、数量の大半は前者で扱っているようです。
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